アパレル検品,  作業マニュアル

アパレル検品の盲点とコツ カラーバス効果で精度を上げる

アパレル製品の検品

私たち幸新物流センターでは、数多くの品番の海外製品を取り扱っております。一般のお客様が目にするようなカジュアルやスポーツ店用様であったり、セレクトショップ様用であったり、また企業様の制服や作業着、防火服等多くの種類の製品を承っております。

検品とカラーバス効果

心理学・脳科学の分野にカラーバス効果というものがあります。広告やマーケティングにもよく利用されているものです。カラーバス効果とは自分が意識しているものが、自分のもとに情報として入ってくるというものです。他のものは、見えていない。もしくは心理的にブロックしてしまうことがあるということです。何となく上の写真を見せられた時と、「オレンジがどれくらいあるか見つけてください」と言われた時では認識が異なるということです。

例えばある時、”なんだか久しぶりにラーメンが食べたいな”と考えて電車の窓から外を眺めていると、やたらとラーメン店ばかり、目に入るようになったり。

新しい車に乗り始めた途端、急に同じメーカーの車ばかり目に付くようになったりって、そんな経験はないでしょうか。

もちろん、ラーメン店が急に増えたわけでもなく、自分が乗っているメーカーの車が急に売れたわけでもありませんよね。

これこそがカラーバス効果によって、人は無意識的に、自分が意識している情報を優先して取り入れているため、まるでそれが急に増えたように感じてしまうのです。

それと同じように、検品の際に同じようなことが起こります。検品をある程度進めた後に、誰かがある不良個所を発見したとします。検品者が集まって、その不良に関して確認した後に、次々と同じ不良が見つかり、挙句、先に検品を終えていた商品からも不良が見つかってしまう。

検品作業者は、通常全員が検品のベテラン者でもありません。そして、ベテラン者も、製品を作るプロではありません。想定外のトラブルというのは、やはり見つけにくいものなのです。

  • プリントにまさか、欠けている部分があるとは思わない(完成を認識できていないときもある)
  • 生地に、反物による色差がある、染めムラが出る可能性がある、異原糸が入り込む可能性があるとはそもそも知らないことの方が多い。
  • 縫製の方法や特性を知らないので、何が問題か分からない

言い訳のように聞こえるかもしれませんが、みなさん通常はその業界のその専門家でない限り、起こりうるトラブルの可能性などは基本的には知らないものですよね。もちろん服に関しても、店頭に並んでるんだからA品が基本です。通常はA品しか、みなさんは見ていないことになります。

カラーバス効果を使って検品精度を上げる

逆に考えると、カラーバス効果を使って、より検品精度を上げることも可能だと考えられます。

それは、単純明快、コミュニケーションです。

より多くの情報をいただくということで、検品の精度は向上します。アパレル製品を作っていく段階で、生地のサンプルから製品サンプル、そして本生産生地と製品の完成まで、様々な過程で得られた不良が紛れ込む可能性を、情報開示することで検品者の認識の幅が広げることができます。そして、より精度の高い検品に繋がるのではないかと思います。

まとめ

いろいろ言ってるけど、検品倉庫会社って、そもそもそれが仕事なんでしょって思われるかもしれませんね。おっしゃられることはもちろん承知しています。 何千枚何百枚もの検品が一人ではとても行えないのも 事実で、そして検品者も”不良品を見過ごしてはいけない”その認識で作業していることも間違いありません。

ただ現状の検品は、個人差もある人間の目と脳をに頼っている以上、その特性や限界を理解することも必要なのではないかとも考えました。”カラーバス効果”に「自分にも覚えがあるなあ」とお考えの方は、どうか情報を渡すということを意識して、参考にしていただけたら幸いです。