• 作業マニュアル

    Tシャツ工程分析から考える現場作業と時間の関係

     

    アパレル製品を作るに当たって、見積もりの目安になるのは工程分析ですね。最近では、工場の社長の頭の中だけで組み立てられてしまって、あまり目にすることはなくなっていると思います。メーカーの事務方の担当者様も全然知らなかったり、見てもピンと来ないなんていうことも当たりまえのようになってきました。

    上は簡単なTシャツの工程分析表です。各工程の細かな秒数や、1ラインでの一日の目標想定売り上げ、計算上の工賃等は単なる参考と考えていただければいいと思います。工程そのものを事務方の担当者が全て理解する必要もないでしょう。

    ここで、意識していただきたいのは、現場とは事務所よりも遥かにシビアに作業秒数と、段取りに非常に大きく左右されるということです。余裕率、いわゆるロスの時間によって20秒近くの差を記載しています。工程であれ、ロスであれ、1着20秒の差があるということがどう影響するでしょうか?

    • 3人×60秒×60分×8時間=86400秒 / 日
    • 仮に3000枚の作業 × 20秒の差  =  60000秒
    • 60000秒 = 3人ラインの約6時間分作業時間
    • 最も安い最低賃金 = ¥762(2019年現在 大阪は¥936)
    • 3人 × 6時間 × ¥762 = ¥13716(福利等含まず)

    上の表は、仮に最低賃金が安い地方の工場であったとしても、わずかな時間のロスが大きな損失につながってしまう可能性を示しています。私たちのような物流倉庫でも作業を考えるときは、これと同じような考え方をします。事務を行っていると、そんな現場の時間ロスがどんな影響を及ぼしているのか、中々想像できないのではないでしょうか?

    工場さんや我々の検品等の作業現場では、「もう少し安くできませんか?」との要望で、出来る限り効率を上げて仕事をするものです。最低賃金が年々上がる中で、逆に時間を短縮できないなら安くすることはできないでしょう。工程分析を各品番生産ごとに作る必要はないかもしれませんが、最も基礎的なTシャツの工程分析表を見て考えて、現場の作業時間の感覚を少しでも意識していただくと、事務職と作業現場が良い関係で仕事できるのではないでしょうか。

     

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