アパレル検針

アパレルの検針に関して、本質はどこにあるのか?

アパレル製品の不良・トラブルで最も問題となるのが異物混入、特に縫製時に使われた針が折れて、その針先が衣服の中に残ってしまうというものです。これはお客様にケガをさせてしまう恐れがあり、消費者クレームにとどまらず、製造物責任法(PL法)に抵触して、最悪の場合は損害賠償請求されることもあり得ます。

以上の点から針の混入等があった場合は、販売者側としては製品の全数回収、対工場や対メーカーの場合は取引の停止が課されたり、いわば飲食店が食中毒を出してしまうほどのインパクトがある案件となってしまいます。ですので検針に関して担当者は、非常にナーバスになるということも理解できます。

検針とはその最悪の事態の発生を防ぐ最終手段となります。よく使われているのがコンベアタイプの検針機で、一言で言うと金属探知機です。ですが、これまで下記のようなイレギュラーも発生したことがあります。

  • 裁断機の刃に、研いだ際の鉄粉が付いていた?
  • 製品染の染料、もしくは染め用の釜に鉄粉が付いていた?
  • 金属の付属品のコーティングが剥がれた?

上記は検針機に反応があったため調べたのですが、X線検針で目視検査しても、解体しても、これといった原因を特定できず、可能性として挙げたものです。針に関係しなくとも、反応の原因はおそらく他にもたくさんあると思います。

あくまでも検針の本来の目的を考える

先に説明した通り検針とは非常にナイーブで、検針機の精度に関しても、不確かな部分があります。お客様によっては、縦・横の各方向で2回検針を指定されるお客様もおられます。確かに縦と横で反応が変わり、どちらかだけ反応する場合があります。そこで、製品を二種類の角度から検針できるダブルヘッドというタイプができました。

2回行わないといけない検針が1回で済む。ということは確実に時間を短縮できて、コストをカットできる可能性がありますよね。本来であれば、工場も我々のような検品倉庫も導入したいところではあります。

しかし、アパレルさんによっては、この機械ではダメ!!だというお客様もおられるそうです。なぜなら、縦・横二回検針のどちらかで反応した製品が、この機械では、通ってしまうものがあるからだそうです。

針をはじめとした異物の混入を防ぐのが目的なのか?どんな状態でも反応しないということが目的なのか?この理屈では本来の目的を見失っているかもしれません。私は経験上、縦・横のどちらかのみで反応があった製品に関して、針先の混入等が発覚したことはありません。二回検針を絶対の指定にされる考えも理解できるのですが、作業時間は必ず長くなり、その分のコストも上がってしまうということもご理解いただきたいと思います。

この検針の事例に限らず仕事においては、この作業は一体何のための作業なのか?本当にお客様にメリットがあるのか?製品の品質向上に役立っているのか?と考え直すこともアリなのではないかと思います。