クリーズ線のあるパンツのアイロンのあて方
クリーズ線のあるパンツのアイロン
私たち幸新物流センターでは、クリーズ線(Crease line/折り目)のある、いわゆるスラックスタイプのパンツのアイロンを承ることがあります。海外で生産し、たたんだ状態で入荷してくる場合が多いため、線が消えてしまったり、ズレたりしてしまっている場合があるため、全体のシワを取ると同時に、クリーズ線をキレイにアイロンし直します。
クリーズ線とは
- 前後共にパンツの中心に入れ、折り目を付けて筒状のパンツをアーモンド型にすることで正面から見たときに足を細く、すっきりと見せることができます。
- プリーツと混同されることがありますが、プリーツ=pleat(ひだ)の複数形のことですので、左右中心に1本ずつ入れた折り目に関しては、正確には意味が違ってきます。ただ、ひだ=布などに付けた細長い折り目と解説されてます。ややこしいですね・・・
パンツアイロンの手順
- アイロン台の馬を使用して、腰からおしり周りのシワを取っていきます。立体感のある部分ですので、丸みは潰さないように。
- ポケット部分や前の見返し・持ち出しの部分は、生地の厚みの差が大きい部分なので、アタリに注意してください。写真のようなアイロン台の場合は吹上げが有効です。ない場合は、中にタオルのような厚手の生地をひいたり、上から当て布を当てながらアイロンした方がいいでしょう。
- 家庭でアイロンする場合は、おしりや腰回りの立体部分は、ハンガーに吊った状態で、最近よくあるスチームを噴出してくれるアイロンを使用すると便利です。
- 左右のパンツは、片方ずつアイロンを当ててください。左の写真のように内股線と、隠れて見えませんが下側になってる脇線を合わせます。 ここはなるべく直線にすると、きれいに真下に落ちるように仕上がります。
- 前パンツののクリーズ線からアイロンを当て、前タックにつながるようにきっちりと折り目をつけてください。
- 後ろパンツの方は、生地のゆとりをおしりの立体を作り、生地が下がらないように、下から上に上げるイメージでアイロンを当ててください。
- 家庭でクリーズ線を当てる場合もハンディタイプは向かないです。従来の押さえられる形のアイロンを使用するほうがいいでしょう。
パターンからパンツの形をイメージ
パンツのパターンはおよそ上の図のようにできています。平面の生地を裁断するためのものですので、出来上がりの立体形状とはかなり違いますね。
平面では表現しにくいのですが、前パンツのタックをたたみ、後ろパンツのダーツを縫い合わせることで、人の下半身の形状に近づいていきます。
オーダーメイドのスラックスの場合は、「くせ取り」と言って、裁断パーツの状態で立体を意識したアイロンを先に行います。大量生産の既製品の場合は簡略化し、最終のアイロンで立体に近づけるようにします。上の図でも分かる通り、裾も横から見てまっすぐに縫われているわけでもありません。また、内股線も脇線も異なったカーブで、真っすぐでもありません。
スラックスパンツは前から見たとき、横から見たとき、それぞれにきれいに見えるように設計されていますが、縫製だけで完成するわけではなく、アイロンも合わさって初めて完成する。ということが、イメージできるのではないでしょうか。
アイロンをきっちり当てたパンツを見ると、人が真っすぐ立って履いた時に、横から見たイメージと、ダーツがここにあるからゆとりができて膝の曲げ伸ばしがしやすいのだなという機能性とが、とっても分かりやすいですね。