• アパレル補修

    熱で消えるペンの使用に関してのトラブル

    先日、熱で消えるペンをチャコ代わりに使用してしまったトラブルが発生し、対処業務を承りました。私は5年以上前に日本国内の生産にて経験したのですが、今回は中国生産で発生したようです。

    PILOT社製のフリクションシリーズのペンで、他にもしかしたら類似品が出ているかもしれません。書いたものをゴムのようなペン先でこすると、摩擦熱によって消えるというとっても便利な筆記用具で、私も愛用させていただいてます。60℃で消えるのでアイロンを当てれば、簡単に無色透明になります。もしこれがこのまま浮き出てこなければ、アパレルの生産にも、とてつもなく便利なものになったと思います。

    以前は、生産したポロシャツを倉庫に置いている間に印が浮き上がってきてしまいました。PILOT社様のホームページではマイナス10度前後で筆跡が戻る可能性がありますと記載されていますが、大阪の倉庫だったのでそこまで温度が下がったかは疑問です。問い合わせしたところ湿度も関係しているということだったので、どのような条件で顕在化するかは、なかなか確定できないそうです。今回のトラブルもまだ寒い時期に倉庫に保管しておいて発覚したようです。

    この問題のやっかいな点がいくつかあります。

    • 洗濯しても落ちたかどうか分からない。乾燥機の熱で消えているかもしれない。
    • 溶剤で落とすことができるが、乾かす際のドライヤーでも消える。
    • 常温では、落ちたかを確認ができない。冷やして保管したり、コールドスプレーをかけて確認が必要。
    • 顕在化していない部分があるかもしれないが、常温では確認できない。
    • 消えている状態が、インクが落ちたからなのか、熱や湿度で見えない状態なのか判断がつかない。

    フリクションシリーズはチャコとしては使用しないでください。

    以前この問題が発覚した時は、日本の各協力工場様、中国の各協力工場様に連絡して使用をしないように注意をお願いしました。しかし、今後も起こさないようにするのは非常に難しいですが、連絡を徹底するしかありません。私が以前働いていた工場でも、ベトナム人実習生が帰国する際に、お土産として大量の同種のペンを購入していきました。しっかりと、服に使ってはいけない旨を説明をしましたが、本人が理解したとしても、その先できっちり説明してくれるかは分かりませんし、ベトナム国内で生産して国内で売られる商品に使用されてもずっと顕在化しないかもしれません。お土産として持って帰るなとは言えないので、きっちり伝わったと思うしかありませんでした。

    今回は非常に苦労して落としましたが、今後このようなトラブルが発生しないことを願うばかりです。