• アパレル検品

    検品に必要な日本人的・アナログ感覚

    先日大阪はG20サミットが開催され、ますます国際都市としての地位が確立されつつありますね。外国人観光客は梅田・心斎橋・難波を問わず、見かけるようになりました。相変わらず爆買いをする方々も多く見受けられます。なぜ、こんなにも外国人観光客は、日本での買い物をするのでしょうか。それも、日本でしか購入できないお土産や特産品だけでなく、日常で使用する品々まで。そして、その中には海外で生産しているものまで多数あります。

    日本人感覚の厳しい目をクリアした商品だけが、日本の店頭に並んでいる。それが、日本でモノを買う外国人の方にとって、ある種のブランディングとして成立しているのではないでしょうか。

    B品の定義とはなんでしょう?

    • 縫製・・・糸の目飛びや、糸が切れているホツレ等、ミシン油の付着、柄合わせ不良、縫い合わせ線のズレ、異物混入、縫製仕様ミス等
    • 生地(織物)・・・織キズ、異原糸混入、染めムラ、汚れ等
    • 生地(編物)・・・編みキズ、異原糸混入、染めムラ、汚れ、横段、  中希、縦筋、柄ピッチ違い、等
    • 二次加工・・・加工位置ズレ、プリント色ブレ、プリントにホコリの混入、刺繍糸ミス、刺繍ホツレ、ラインストーン外れ等
    • 製品・・・仕様間違い、品質表示ミス、品質表示の印刷擦れ、必要下げ札の過不足、下げ札付け位置ミス、下げ札順のミス、たたみ資材の使用ミス(例:衿台紙・キーパー等)
    • 検針反応がある

    これだけ書き出しても、まだまだ足りないくらいB品が出る可能性はたくさんあります。そして、一つ一つの不良状況も様々で、修理ができるのかできないのかも、その時々で確認しないと分かないと思います。

    各個人によるB品の定義と認識の差を埋める

    例えば、ボーダーTシャツの脇の柄が縫製で1cmズレていたらB品でしょうか?おそらくこれはB品と判断するでしょう。ニット生地のボーダーの柄ピッチは、生地のセット仕上げや巻き取りの強さで、位置によって差が出てきます。もちろん裁断でも縫製でも注意して柄を合わせようとするのですが、ズレが出たまま製品となってしまうことがあります。

    とりあえずズレは5mmまでOKと定義したとします。

    仮に7mmくらいのズレでB品が多くなって、必要数から少し減産してしまったとき、一旦5mmまでと決めたものの、B品の中でまたマシな商品を探すか、可能であれば解いて修理といった段取りになるでしょうか。

    何をB品と決めることは、非常に難しいです。左の写真は綿85%麻15%の生地です。麻は糸節が多くでき、写真のような部分は商品にランダムにいくつもあるので、基本的にはA品扱いです。但し、限度もあって、その節部分で糸が飛んでしまったりしていた場合はB品になります。こういったことも人の目や、常識の範囲という曖昧な部分に頼らざるを得ません。真ん中と右の写真は、硫化染めとダメージ加工の製品ですが、予期しない部分のダメージやホツレはB品になります。これも判断がつきにくい製品の一つです。

    そもそも検品とは、、、

    基準を明確に線引きできる部分は良いですが、あやふやの中にボーダーラインが求められることがあります。例えばダメージ加工製品等、一つ間違えば良品と不良品のボーダーラインが非常に曖昧です。日本人の検品感覚は、”常識”で判断する範囲が多くの人の中で逸脱しない、長い文化で培ってきた想像力とバランス感覚があるように感じます。

    AIが発達していってる世の中ですも、全部の製品をB品と判断されてはアパレルさんも立ちゆきません。外国人にも信頼のある、この日本人の品質判断力は今後も必要とされるのではないでしょうか。 場合によっては、厳しすぎるクレームも存在する日本人感覚の基準は、今後も大切にしていかなければならないのかもしれませんね。